2006年04月27日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.45

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【写真】安全な場所:緑色で○マーク、危険な場所:赤色で×マーク
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【写真】村歩きの時に写真を撮りました
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【写真】元気一杯に、は〜い!
(クキさんレポート38 〜防災マップ作成A タララ村後編〜)

 次に「防災マップ」の検証である。1.村の「安全な場所」「危険な場所」は何処か?2.避難所(お寺)の場所は何処か?3.避難する時の注意点は何か?(お・は・し・も)、4.災害時に優先される人たち(高齢者、障害者、外国人、幼児など)の避難の仕方は?又は彼らにどのような手助けが可能か?5.家や建物の構造として、津波で流されてしまった理由は何か?その対策方法は何か?6.備えとして、普段から何が備えとして必要か?

 これらの全ての回答を子どもたちからは得られなかったが、津波で建物が流されてしまった理由と対策に関しては各グループから回答を得た。全てのグループに共通しているのが、建物が強くないから、海の近くに建っていたから、水の威力が強すぎたからの3点である。またその解決策として、高台に家を建てる、平坦な強い家を作る、強い壁を作る、木を植えるなどがあった。

 安全な場所と危険な場所について一つ興味深い点がある。海や木を危険な場所としたグループと安全な場所としたグループがいたことだ。危険な理由として海は津波が来るかもしれないから、木は倒れてくるかもしれないからとした。安全な理由として海は近くに石の壁があるから、木は津波がきたら登れるからとした。このように同じ場所でも捉え方により、安全な場所、危険な場所が全く逆になる。

 各グループの代表者により質問の回答が発表されたのだが、あるグループの代表者(ボランティアリーダー)の男の子が発表する段階になって、頑なに彼は断った。国内UNVも他の子どもたちも何故なの?恥ずかしいの?と何回も聞いたのだが、彼は結局、前で発表することなく、他の年少さんが彼に代わって発表することになった。実は後になって、この男の子は読み書きが出来ないということが分った。スリランカでは識字率は非常に高い。この数値とこの現実のギャップが私の心を痛めた。数値は時に一人歩きし、実態を伴わないこともあるのではないだろうか。

 「防災マップ」検証のプログラムが終わると直ぐに子どもたちは、お寺の外の広場へと走っていった。「やっと終わった〜!」と言わんばかりの早さだ。子どもは本当に正直である。しかしこの無邪気さが時には残酷にもなる。ある女の子が泣きながら国内UNVの所にやってきた。年少さんが彼女に「お前は毎日同じ服を着ている!」と言ったらしいのだ。私たちは彼女を宥めながら、タララ村のプログラムは終了した。子どもは時に残酷だ。


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2006年04月26日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.44

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【写真】プログラムが実施されたお寺
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【写真】みんなでお掃除
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【写真】狭くても文句もなく
(クキさんレポート37 〜防災マップ作成A タララ村前編〜)

 第6週目は「防災マップ作成 A」共育プログラムがタララ村で実施された。このプログラムの目的は、防災マップの検証である。災害時に、敏速かつ的確に避難するためにも、村の様子、道路、建物、住民などをよく知っておくことが大切であるからだ。タララ村のプロジェクトサイトは、個人の自宅を解放して実施されていたが、今週から写生が行われた避難所となるお寺に移動することになった。公共の場所を利用してのプログラム実施は今回が初めてである。他3ヶ所のプロジェクトサイトは個人宅や村の公共の広場を利用している。今後このお寺がタララ村のプロジェクトサイトとなる。

 個人宅から備品などをお寺へと移動した。スリランカではお寺を開放して様々なプログラムが実施されている。日曜日の朝は僧侶による仏教講座が開かれている。キリスト教でいう日曜学校みたいなものだ。こちらのお寺の僧侶は私たちのプログラムをこのお寺で実施することに快く同意してくださった。まず、お寺の掃除をすることになった。子どもたちは私たちが指示することなく、一人ひとりが考え、ある子どもはほうきで床をはき、ある子どもはスペースを確保するために椅子や机を部屋の隅に置いた。30名以上の子どもたちが座るにギリギリのスペースしかない部屋ではあったが誰一人として文句を言う子どもはいなかった。ここスリランカに来て以来、大人の文句は沢山聞いたが、子どもからは聞いたことがない。子どもたちは、我慢するというのではなく、流れる川に身を任せるように、あるがまま、受け入れているように感じる。彼らの姿勢にいつも頭が下がる思いである。

 前回、トッタムナ村と同様に、年少さんと年少さんを混ぜ、グループを3つに分けた。子どもたちはひしめき合って座っていた。切り絵を各グループに配る。何処に切り絵を刺すのかを相談し、グループごとに地図の上に置いていった。今回の切り絵の中には村歩きの際に撮った建物や風景の写真もあった。それらの写真を見て直ぐに地図に置いていく子どもたち。村の隅々まで把握しているのではないかと思うほどの速さで全ての切り絵が地図に落としこめられた。


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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.43

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【写真】キラウェラ村へ ようこそ♪
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【写真】キャラウェラ村の高台への階段
(クキさんレポート36)
 第5週目「防災マップ作成 @」共育がデビヌワラ・キラウェラ村で実施された。今回で4回目となる「防災マップ作成@」もデビヌワラ・シンハサナ村からの高校生ボランティアリーダーらの助けもあり、スムーズに実施することが可能となった。村長の息子が中心となり彼が描いた地図が模造紙に書き写されていった。この村にはお寺がある高台の他に、プロジェクトサイトから歩いて10分ぐらいの場所に少し急な階段がある高台がある。避難所となる場所に設定するには、狭すぎることとなりこの村の避難所をお寺と設定した。実際、津波時この高台に避難した人の数は少なく、殆どの住民がお寺へと避難したと聞かされていた。しかし、防災マップ作成にあたってはこの高台も明記した方が良いのではないかとのボランティアリーダーらの意見を取り入れ、地図に明記することになった。

 この高台の上には2軒の家が建っていた。その住民に話しを聞くことができた。津波が襲ったあの日、この高台から見える光景は地獄そのもので、それが津波である知識もなくだ、呆然とその光景を見ていたらしい。階段の途中まで水が押し寄せてきて初めてお寺まで避難したと聞いた。「なぜお寺に避難したのか?」と聞いたら、お寺には仏陀がいるので守ってくれると思ったからと答えた。お寺が避難所になるという考え方は、津波後であり普段の彼らの生活においてお寺はやはり仏陀(神)の場所としての観念が強いのであろう。そしてその仏陀(神)が彼らの命を守ってくれると信じている。仏教の仏陀、キリスト教のキリスト、イスラム教のアッラー、ユダヤ教のヤーヴェなど、それぞれの宗教には神や指導者として誰かが、何かが存在する。彼らに救いや助けを求めるその行為自体を否定することなどは出来ないが、ただ祈っているだけ、救いを求めるだけでは、災害時には何の助けにならないのも事実である。逃げなければ、耐震の建物を建てなければ、そこには死というものが待ち受けている。この事実を相手の宗教を重んじながら説明するのが実は一番難しいのではないかと思う。災害時の行動のあり方やその後の復興過程は、住民の神への信仰心(宗教)と密接な関係があると思う。この関係性を深く知るには、まず、その土地の宗教を勉強すること。ここマータラにおいては仏教。今後の課題として仏教の講座を僧侶から受けてみたいと思う。

 第6週目は、「防災マップ作成A」共育プログラムがプロジェクトサイト4ヶ所で実施される予定である。切り絵を地図に落とし込める作業と、防災マップの検証を行う。子どもの目から見た防災マップの検証を通して、多くのことを学ぶであろうと確信している。何度も同じことを言いたい。子どもの感性や彼らの目は大人よりも鋭いということだ。そこから学ぶことは多い。ちなみにこの防災マップ検証のプログラムを実施するにあたり、CODEの事務局長である村井さんから多くのアドバイスを受けた。このプロジェクトは多くの方の助けによって実施されている。CODEを初め、日本の支援者の皆様やそしてここスリランカの地元の方々からである。今後ともご支援、ご指導の程、宜しくお願いします。


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2006年04月23日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.42

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【写真】米粉で作る高台
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【写真】皆で相談して考案した方法
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【写真】芸術作品の切り絵
(クキさんレポート35)
 高台を立体的に見せるために、ボランティアリーダーらが相談しあいながらだした結果は米粉を練ったものを模造紙に貼り付けるという手法だ。タララ村の子どもボランティアリーダーにもその手法を説明する。しかし、初めて試みる手法に彼らは頭を抱え込んでしまった。水が多すぎると模造紙が破れてしまう。少なすぎるとひっつかない。水分もほどほどに適当な粘りをださなければならない。私はただ見ている以外どうしようもなかった。米粉を扱ったことは今まで一度もない。黙って見ていると、山となる高台には、仏陀が飾られている棚からお椀を取り出し、そのお椀にそって練った米粉を貼り付けだした。そして、お寺のある高台には少し濡らした新聞紙をちぎり、それを土台にして、練った米粉を上からぬりつけたのだ。そして他の子どもたちを呼び、紙に茶色のクレヨンで塗るように指示をだし、その紙をお寺の高台の上から貼った。見事な手法である。余りの感激に思わず万歳!万歳!万歳!と手を挙げて大はしゃぎしてしまった。
その姿を見たボランティアリーダーの男の子は、頭をかきながらも満足気な表情で私に残りの練った米粉を差し出し、「食べる?」と仕草で私に聞いた。私も首を横に振りYESという仕草で答えた。みんなで大笑い。

 年少さんの切り絵も他のプロジェクトサイト同様の素晴らしい出来である。発砲スチロールには色とりどりの切り絵が飾られた。これらの手法がベストだとは思わない。しかし、日本から必要物資を送ってもらい、日本の手法をそのまま適用する方法よりも、現地の子どもたちが自ら考え、彼らの手法で行う方が、今後彼ら自身で「防災マップ」を作成する時に、大いに役に立つと思う。なぜならこの手法は彼らが考えた、彼らだけの独自のものであるからだ。そして何よりも、彼らの本当に必要としている、自ら考える(自立)への体感がそこには存在するからである。


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2006年04月22日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.41

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【写真】今回も伝授に来てくれました
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【写真】マーシャの叔母さんの家
(クキさんレポート34)
 第5週目「防災マップ作成 @」共育がタララ村で実施された。今回もデビヌワラ・シンハサナ村の高校生ボランティアリーダーが「防災マップ作成」伝授に来てくれた。第3回目ともあって、彼女たちも落ち着いた様子で子どもたちに説明をしていた。タララ村の子どもたちは他のプロジェクトサイトに比べると年少さんの数が圧倒的に多い。年長さんは15歳を中心としたボランティアリーダー以外に数名となる。

 タララ村の地図は15歳のマーシャという女の子が描いてくれた。この地図を作成するにあたり、以前、彼女と一緒に村歩きをした。タララ村の約300名におよぶ村人が避難所となるお寺に津波の時避難したと聞かされた。このお寺の他に、プロジェクトサイトから約3.5km離れた場所に「テクニカルカレッジ」がある。高台にある為、歩くと、子どもの足で30分近くかかるらしい。マーシャ自身は、津波発生時、彼女の叔母さんの高台にある家に避難した。是非一緒に叔母さんの家に来てほしいと言われ、TUKTUKを走らせた。叔母さんの家は山頂にあり、マーシャの家から彼女の家まで歩いていくには、相当時間がかかると想像できた。「こんなに遠くまで津波の時、歩いてきたの?」と驚いて彼女に聞くと、「命の問題だから」とあっさり言われてしまった。その通りである。どんなに遠くても、どんなにしんどくても逃げる以外には津波から助かる方法はない。

 以前、インドネシア・ニアス島での出来事を思いだす。「地震発生、津波が来るかもしれないので高台に今から避難します」と、現地コーディネーターの方から言われた。夜中3時過ぎだったと記憶している。頻繁にこのようなことが起こると聞かされた時、あまりの眠たさから、「私なら避難せずに寝続けるかも」とCODEの事務局長村井さんに言った覚えがある。確実に私のような行動をとると待ち受けるのは『死』のみである。マーシャはこの叔母さんの高台の家を「仏陀の家」と笑って言った。彼女にとって叔母さんの家は命を救ってくれた仏陀が宿る場所であったのだろう。


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2006年04月21日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.40

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【写真】メイン道路は黒、サブ道路は黄色、海は青
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【写真】クレヨンの色をのばす様子
(クキさんレポート33)
 メイン道路は黒色、サブ道路は黄色、海は青色、では川は何色?と、又子どもが聞いてきた。何色がいいと思う?と逆に聞いてみる。子どもたちは一斉に、緑色と答えた。何故緑色なのだろうかと聞いてみると、川には藻がいっぱいあり、その色が緑色をしているからだそうだ。なるほどなぁと関心してしまう。私が答えるよりも子どもたちの方がはるかによく知っている。

 いざ緑色を塗る段階となって、緑色のクレヨンがほとんどないことに気づいた。子どもたちは相談している。備品で購入していた新しいクレヨンを取りに行って戻ってみると、既に子どもたちは、川の殆どを緑色に塗り終わっていた。どうやって塗ったのか?何と、布を使ってクレヨンをのばしていたのだ。彼らの知恵にはいつも驚かされる。私はつい持ってきた新しい緑色のクレヨンをそっとポケットにしまいこんだ。私はクレヨンを最後の一かけらまで使ったことはない。

 年少さんの切り絵をヒロが爪楊枝と待ち針で発砲スチロールに刺していった。お寺、魚、お家、ココナッツの木など、色とりどり、形も色々、おとぎの村にやってきたのではないかと思えるほど、素敵な切り絵が完成していた。子どもたちも自分たちの作品を早く発砲スチロールに刺したくて、ヒロの前には長い列ができていた。津波で殆どの建物が流されてしまったが(死)、子どもたちの目には、生きている木、生きている魚、生活を営む家など多くの「生」が見えていたに違いない。次回は、この刺し絵を実際地図の上に刺していく。子どもたちによる、子どもたちだけの「防災マップ」は、彼らの希望と夢をも運んでくれるかもしれない。


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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.39

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【写真】駆けつけてくれたボランティアリーダー
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【写真】トッタムナ村の地図
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【写真】上手に切れるかな
(クキさんレポート32)
 第5週目は「防災マップ作成 @」共育がトッタムナ村で実施された。前回の教訓を活かし、今回は、発砲スチロールに直接絵を描くのではなく、厚紙のみに絵を描いてもらうことにした。子どもたちは、芸術作品とも言える見事な切り絵を作成した。

 デビヌワラ・シンハサナ村から高校生のボランティアリーダー二人が「防災マップ作成」の伝授の為、授業が終わって直ぐにトッタムナまで駆けつけてくれた。恥ずかしがりやの二人は子どもたちの前で説明するのに照れながらも、一端作業が始まると、主体的に子どもたちの中に入り、切り絵のお手伝いをし始めていた。
真っ白な制服に身を包んだ彼女たちの姿は、白衣の天使のように見えた。切り絵を刺すために、爪楊枝と待ち針が用意されていた。その待ち針の先には、色とりどりのパール色をした丸いピンがついていた。それを見た彼女たちは、私にその待ち針を一本欲しいと聞いてきた。何に使うのかと思うと、何と、制服のネクタイピンとしてネクタイに刺したのだ。ピンクと淡い紫色のピンを二人とも嬉しそうに胸につけながら、再度子どもたちの中へと入っていった。待ち針が、新たな役目をもらって彼女たちの心を、私の心を潤した。

 トッタムナ村の地図もデビヌワラ・シンハサナ村同様に、避難所となるお寺を中心にプロジェクトサイト周辺の地図が描かれている。プロジェクトサイトから避難所までの道を赤い矢印で道に書いていく。年長さんが私に聞いてきた。「津波前には、ここに郵便局があったんだけれども、今はない、建物のほとんどが津波で流されてしまったから描く建物がないんだけども、どうすればよいか」愕然としてしまう。その子どもは、津波前にはあったけども、今はないと明記すればよいと笑いながら私に言ったが、私は笑うことができなかった。殆どの建物が流されてしまい、未だに再建されないでいる。一年以上も経つというのに。結局、その子どもは、そこに郵便局を描いたものの、×印をつけた。しかしそれを見た他の子どもが消しゴムでその郵便局を消した。胸がギュッと痛んだ。何もかも津波で流されてしまったトッタムナ村。今は、再建された家、再建されようとする家のみがポツンポツンと村を守っている。

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2006年04月19日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.38

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【写真】時計台が描かれていたが、、
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【写真】お家の切り絵
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【写真】↑子どもたちの作品↓
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(クキさんレポート31)
 「村の中にある、何でもいいから目につくものを創りましょう!」と私たちは子どもたちに言った。彼らは発砲スチロールに絵を描いてはカッターで切る作業を繰り返していた。色紙に絵を描き、厚紙に貼り、切る。ある子どもは、誰かが発砲スチロールに描いた「時計台」の絵を無視して、自分のお家を切り取っていた(写真参照)。ヒロと笑ってしまう。海が近いのか、自分たちの親が漁業を営んでいるためなのか、何故かお魚を創る子どもが多くいた。ある子どもは自分の名前がついた船を描いた。それぞれが好きな切り絵を創っていく。その横で、年長さんとボランティアリーダーらは、模造紙に地図を落としこめていた。何回も何回も鉛筆で書いては消し、書いては消しを繰り返しながら、見事な地図ができあがった。メインロードは黒、サブロードは黄色、海は青である。来週は、この地図に切り絵を置いていく。最終、どんな形で地図が仕上がるのか楽しみである。

 プログラム終了後、今回の「防災マップ作成@」の改善点などの話し合いが夜遅くまでヒロ宅で行われた。まず、発砲スチロール自体に絵柄を描き、カッターで切る手法は、子どもがケガをしてしまったことや、切り取った作品が壊れやすいことから考えて、厚紙に絵柄を描き、それをハサミで切る手法のみとする。切り絵を地図に置く方法として、地図と同じ大きさの発砲スチロールを地図の下に敷き、地図の上から、爪楊枝をつけた切り絵を刺す。メイン道路とサブ道路の色づかいは他のプロジェクトサイトの地図も同様とするなどがあがった。

 次回は、トッタムナ村で「防災マップ作成@」共育のプログラムが実施される予定である。今回の教訓を活かし、次回へ繋げたいと思う。

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2006年04月18日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.37

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【写真】ボランティアリーダーによる説明
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【写真】シンハサナ村の地図
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【写真】小道を黄色で塗る子どもたち
今回から「防災マップ作成」のレポートです。4つのプロジェクトサイトで実施し、それぞれ2回に分けますので、全8回お届けします。

(クキさんレポート30)
 第5週目は「防災マップ作成 @」共育がデビヌワラ・シンハサナ村で実施された。このプログラムを実施するにあたり、「村歩き」を初め、建物などの「写真撮影」や、「村の地図の作成」など、ボランティアリーダーらの協力のもと事前に準備がされた。どのような形で「防災マップ」を作成するか、ボランティアリーダーらと話し合いの場が持たれたりした。貴重な意見が彼らから出された。地図を立体的に見せるため、紙粘土を利用したらどうかとの私たちの意見に対して、紙粘土はスリランカでは利用されていないから、米粉をねったものを利用したら良いのではないか、また、年少さんの切り絵は発砲スチロールを利用し、立体的に見せたら良いのではないか等、多くのアドバイスを頂いた。日本での事例をそのまま活用しようと思っても、実際現地にないものが多く、また現地に合っていない事例なども多い。やはり現地の方の意見、現地の方だからこそ分かることを取り入れながら、私たちの持っている知識や経験を伝えることにより、「生きた防災マップ」が創れるのだと思う。

プログラムの最初にボランティアリーダーによる、地図の説明が行われた。この地図は事前に彼らが手書きで描いたものだ。(写真参照)避難場所となる「お寺」を中心とし、プロジェクトサイトからお寺までの道とその周辺が地図には描かれている。その村の地図を見ながらある子どもは、どの辺りに自分の家があるのか探していた。またある子どもは、「ここにも道があるよ」と地図を指さしながらボランティアリーダーに得意げに説明していた。スリランカの子どもたちは、自分たちの村の様子をよく知っている。何故なんだろうか。車を持つ親は少ない、また自転車を持っている子どもも多くない。ほとんどの子どもは自分たちの足で村を歩く。歩くことにより、車や自転車では見過ごしてしまうものをよく観察することが出来るのではないのかなと思う。私は自分の住む町をどれくらい知っているだろうか。

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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.36

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【写真】村長そっとやって来る
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【写真】芝生の上は気持ちがいい
(クキさんレポート29)
 写生をしている時、ふと目をやると、村長の姿を発見した。彼は、写生の様子をそっと横から見ながら、数分もしない内にそっと帰っていった。暫くすると、村長がまたやってきた。今度は、バナナと飲み物を持参してきた。そしてそれを木の枝にかけると、そっとまた帰っていった。彼は物静かな無口な人だ。だが、デビヌワラ地域の4つの村を指揮する村長でもある。プロジェクトサイト(村長宅)からお寺まで歩いていく時に一言だけ、国内UNVに「何処へ行くのか」と聞いただけで、後は静かに頷いていた。例の黒板作りの時もそうであるが、私たちのプロジェクトを支えてくれている影武者のような人だ。彼もまた、違った形で子どもたちを見守っている。

このデビヌワラ・キャラウェラ村の写生で全4回のプログラムが終了した。次回は、いよいよ「防災マップ作成」共育プログラムが2回にわたって実施される予定である。既に各プロジェクトサイト村の地図を描いてもらっている。市販では売られていない子どもたちによる子どもたちだけのオリジナル地図である。どうか楽しみにしておいて下さい。

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スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.35

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【写真】お寺まで大移動
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【写真】YASAはみんなのお母さん
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【写真】真剣な子ども
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【写真】見事なお寺の絵
(クキさんレポート28)
 今期最後の「避難所(お寺)の写生共育プログラム」となったデビヌワラ・キャラウェラ村は、デビヌワラ・シンハサナ村と同じお寺が避難所となる。前回と同じ道を子どもたちと一緒にお寺まで歩いていくことになった。肝っ玉YASA母さんを先頭に歩き出した列ではあったが、途中で二人の子どもが先頭を歩くことになった。YASA母さんは、その二人の子どもにお寺までの道を聞いていた。「こっちの道だよ」と二人の子どもは、得意気に皆を案内していた。タララ村の僧侶が本堂の鍵を子どもに渡したように、肝っ玉YASA母さんも子どもにお寺までの案内役を移譲した。

CODEの事務局長である村井さんから『子どもの目線で立つ』とは、子どもの背丈に目線を落とすということだけではなく、権限移譲までしなければ、『子どもの目線に立つ』とはいえないと教わった。エンパワーメントとは『権限移譲』という意味もあることも教わった。こうやって私は現地のボランティアを通して、本当のエンパワーメントを学ぶ毎日である。『見守る』という行為は、気をつけていなければ、ただ単に光景を見ているだけになってしまう。子どもたちの、そして私たちの本来持っている可能性や能力を、『見守る』という行為において引き出すには、時には子どもたちに言葉をかけ、又子どもたちからかけられ、子どもたちに行動を起こさせ、又子どもたちから行動を起こされなければならない。「権限を移譲し合う」とも言えるのかもしれない。この過程が、共育であり成長であり、この「防災共育」プロジェクトの目的の一つであるとも言える。




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2006年04月12日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.34

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【写真】僧侶に呼ばれた子ども
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【写真】Pawarasiri Niwesaramaya Temple(150年の歴史)
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【写真】写生の時間
(クキさんレポート27)
 子どもたちの挨拶が終わると、そのチーフ僧侶がボランティアリーダーの一人である男の子を呼んだ。国内UNVも私も僧侶の目の前にいたにも係わらず、その僧侶はボランティアリーダーの男の子に本堂の鍵を手渡した。そして「君が本堂の責任者だ」と僧侶は言った。本堂の中には、価値の高いチベットから送られてきた仏陀像がある。その部屋の鍵を子どもに預けたのだ。ボランティアリーダーの男の子も初めは戸惑っていたようだったが、次の瞬間には、子どもたちを呼んで本堂への階段をゆっくりと登っていった。彼の姿は以前よりもずっとずっと大きく見えた。「彼らがほしいと願うものが、本当に彼らが必要としているものであるとは限らない。」ヒロの言葉と僧侶の姿とが重なった。

 写生も終わる頃、僧侶が私を呼んだ。この寺に今年の夏、大きなホールが完成するらしい。あるオーストラリアの団体からの寄付だと聞いた。このホールにはステージがあり、音楽会や演劇などに利用することができる。私たちの活動を知った僧侶が、このホールを完成後に貸してくれるというのだ。「稲村の火」の物語の演劇や「お・は・し・も」の歌の音楽会など開催が可能となる。最後に僧侶が言った言葉を思いだす。「津波で多くのものを失ったが、多くのものも頂いた、それは物資ではなく、人の暖かい心である」KOBEの震災の時と同じ。何もかも失った時に初めて、私たちは人の本当の優しさや暖かさに触れるのかもしれない。人が人らしくなれるのかもしれない。

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2006年04月11日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.33

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【写真】毎回、プログラムの始まりに、祈ります
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【写真】年長さんが年少さんの手を引く
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【写真】僧侶に挨拶をする子どもたち
(クキさんレポート26)
 第4週目「避難所(お寺)の写生」共育プログラムがタララ村で実施された。私たちが到着した時、子どもたちは朝のお祈りを始めていた。プロジェクトサイトである個人宅の部屋の一角に仏陀が飾られている。その方向に子どもたちは座り、約5分間のお経が唱えられた。子どもたちの中にはお経を忘れてしまって隣の子どもの口の動きを見ながら、唱えている子もいたが殆どの子どもは、しっかりお経を最後まで唱えていた。私は仏教徒ではないが、宗教が違っても宗派が違っても、「祈る」という行為は人の気持ちを穏やかに又平和な気持ちにさせるものだと思う。

 国内UNVによる写生の説明後、プロジェクトサイトから避難所となるお寺まで大移動となった。ボランティアリーダーらの指示により子どもたちは一列に並ぶ。TUKTUKを先頭に、お寺まで歩いていくことになった。列の先頭、途中、最後尾に各ボランティアリーダーらが立つ。15歳を中心とした子どもたちだけのボランティアリーダーらは、子どもたちをいかにして「守る」のかをよく知っている。完璧なまでの誘導だ。お寺までの道の掲示板があった。今回で第3回目となる「写生」ではあったが、タララ村のみがこのような掲示板が建てられていた。次回、子どもたちの手でお寺への道の掲示板を他の村で建ててみたいと思う。

 お寺に着くと子どもたちは、僧侶のいる場所まで駆け寄った。彼に挨拶をするためだ。このお寺にはチーフ僧侶と9歳ぐらいの男の子の僧侶がいる。スリランカでは僧侶を見ると必ず皆、頭を地面ギリギリまで下げてひれ伏する。僧侶が子どもであっても、大人も子どもも同じようにひれ伏する。この行為にはいつも驚かされる。チーフ僧侶はひれ伏する子どもの頭に手をのせてニコッと笑った。とても綺麗な笑顔だったのが印象的だ。


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2006年04月10日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.32

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【写真】神が宿る
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【写真】ハートマークの刻印
(クキさんレポート25)
 殆どの子どもたちが描き終わった頃、ふと、お寺のある一角に目をやると、あのお兄ちゃんと妹が、仏陀の像の前にいた。お兄ちゃんの首に手を回して抱きついている妹をテーブルの上に座らせ、お兄ちゃんはテーブルの上で絵を描いていた。その姿は、仏陀と一体化したかのように輝きに満ち、私は身震いするほどの感激を受けた。これほど美しい姿が他にあるだろうか。 
 ボランティアリーダーらにより、避難所の説明や、避難の仕方や注意点などが子どもたちに説明され、トッタムナのプログラムは終了した。

 最後に、このお兄ちゃんの描いた絵を紹介したい。お寺の片隅からお寺の本堂全体を描いている。よく見ると、本堂に、ハートのマークが描かれている。お兄ちゃんの妹に対する愛情がハートのマークとして本堂に刻印されたのだと思う。避難所となるお寺の写生ではあったが、このお兄ちゃんの目には、生きた神が写っていたのかもしれない。


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2006年04月08日

スリランカ防災「共育」プロジェクト 現地レポートNo.31

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【写真】Tottamuna Jaya Maha Viharaya
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【写真】一人静かに描いていました
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【写真】お兄ちゃんに抱きつく妹
しばらく途切れていましたが、スリランカ防災「共育」プロジェクトのレポートを再開します。前回とは別の地域での「避難所の写生」です。2回に分けてお届けします。

(クキさんレポート24)
 4週目「避難所(お寺)の写生」共育プログラムがトッタムナ村で実施された。この写生の目的は、第5&6週目になる、「防災マップ作成」共育プログラムのための下準備もかねている。プロジェクトサイトから避難所となるお寺までの道をみんなで歩きながら覚えてもらうことと、写生をすることにより避難所(お寺)の様子などを目と体で覚えてもらうことにある。私たちがプロジェクトサイトに到着すると既にボランティアリーダーらと子どもたちはお寺に行っていた。プロジェクトサイトから子どもの徒歩、約10分で避難所(お寺)まで着いたと後から聞かされた。

 今回も前回と同じく、画板が子どもたちに配られた。初めて見る画板に目をパチクリしている年少さんや、少しカッコつけて、片足を斜めに前に出して立ってみる子どもや、画板を椅子の上に置いて描いている子どもや寝転がって描いている子どもなど、画板ひとつで、こんなに違ったスタイルの写生が創れるんだなぁと感心しながら子どもたちを見ていた。

 写生のプログラムが実施された同じ日に、トッタムナ村でお葬式があった。式に参列するため、母親が小さな女の子を連れてきた。お兄ちゃんなのだろう、プログラムに参加している男の子がその女の子の方に駆け寄った。お兄ちゃんは妹を抱きながら、写生を再度開始した。しばらくすると、その女の子がワンワン泣きはじめた。そして、お兄ちゃんに抱きついて、離れなくなってしまった。(写真参照)お兄ちゃんは、写生どころではない。抱っこしては、少し描き、なだめては、少し描きを繰り返していた。ボランティアリーダーらが、女の子を抱き上げるとその子は、更に泣いた。どうすることもできないでいるボランティアリーダーは、お兄ちゃんと妹を見守るしかなかった。お兄ちゃんは、写生を諦めて、ずっとずっと妹を抱き続けていた。その光景を見ながら、私もどうすることもできなかった。


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